AMR導入成功事例ファイル

【成功事例】化粧品・日用品EC物流、AMR活用で多品種・波動対応とピッキング精度向上を実現

Tags: 化粧品物流, 日用品物流, EC物流, AMR, ピッキング, 倉庫自動化, 多品種少量, 波動対応

導入企業の概要

本事例は、化粧品および日用品の製造・販売を手がける中堅企業A社様における、ECおよび一部店舗向け物流センターでのAMR導入事例です。A社様は、数百種類に及ぶ多岐にわたる商品を扱い、季節ごとのプロモーションやキャンペーンにより出荷量が大きく変動するという特性を持っています。物流センターは都市近郊に位置し、延床面積は約5,000平方メートルです。

AMR導入前の課題

A社様では、EC事業の拡大に伴い、物流センターの処理能力向化が喫緊の課題となっていました。特に、以下のような点が顕著でした。

これらの課題は、将来的な事業拡大や競争力維持のボトルネックとなることが予測されていました。

導入したAMRとシステム

A社様が導入したのは、棚搬送型のAMRシステムです。具体的には、以下の構成で導入されました。

このシステムにより、「人」が「棚」を探して歩き回るのではなく、「棚」が「人」の元へ来る「Goods-to-Person」方式が実現しました。

導入プロセスと期間

導入プロジェクトは、初期検討から本格稼働まで約10ヶ月を要しました。

  1. 課題分析と要件定義(1ヶ月): 現状の作業フロー、コスト、課題点を詳細に分析し、AMR導入によって解決したい具体的な目標(生産性〇〇%向上、ミス率〇〇%削減など)を明確に定義しました。
  2. ベンダー選定とシステム設計(2ヶ月): 複数のAMRベンダーから提案を受け、コスト、性能、サポート体制、既存WMSとの連携実績などを比較検討しました。A社様の倉庫レイアウトや波動特性に合わせた最適なシステム構成の設計をベンダーと共同で行いました。
  3. 小規模トライアル(PoC)(2ヶ月): 限定されたエリアとSKUでAMRを実際に稼働させ、効果検証と課題抽出を行いました。現場作業員の意見も収集し、システムの操作性や安全性を確認しました。
  4. システム開発・連携および倉庫内改修(3ヶ月): PoCの結果を踏まえ、本格導入に向けたシステム改修、WMSとのAPI連携開発、AMR稼働エリアの床面整備や導線確保などの物理的な改修を実施しました。
  5. テスト運用と作業員トレーニング(1ヶ月): システム全体の結合テストを行い、実際の運用に近い形でのテストを実施しました。並行して、対象となる作業員への操作研修、安全教育を集中的に行いました。
  6. 本格稼働と定着化(1ヶ月〜): 段階的に導入規模を拡大し、対象業務をAMR運用に移行しました。稼働状況をモニタリングし、必要に応じて設定調整や作業フローの見直しを行いました。

導入効果

AMRシステム導入により、A社様の物流センターでは、当初目標を上回る顕著な効果が得られました。

導入における課題と解決策

導入プロセスにおいては、いくつかの課題に直面しましたが、それぞれ適切な対策を講じることで乗り越えました。

成功の要因・ポイント

本事例が成功に至った主な要因は以下の通りです。

今後の展望

A社様では、AMR導入によるピッキング作業の効率化と精度向上に成功した経験を活かし、今後AMRの活用範囲をさらに拡大していく計画です。具体的には、

などが検討されており、物流全体のさらなる高度化を目指しています。AMRは、A社様の事業成長を支える基盤技術として、その重要性を増しています。

本事例は、多品種少量かつ季節変動の大きいEC物流において、AMRが人手不足解消、生産性向上、コスト削減、そしてサービス品質向上に大きく貢献できることを示しています。特に、既存システムとの連携をいかに円滑に進めるか、現場の理解と協力を得るためのプロセスをどのように設計するかが、成功の鍵となることを示唆しています。