AMR導入成功事例ファイル

【成功事例】重量物・パレット搬送でAMR導入、作業安全性の向上と搬送効率化を両立 - 製造業・卸売業向け

Tags: AMR, 重量物搬送, パレット搬送, 安全性向上, 製造業物流, 物流効率化, 自動化事例

物流業界では、労働力不足が深刻化する中で、特に重量物の搬送作業における課題が多く報告されています。作業員の負担増や、それに伴う労働災害のリスク、さらには熟練した作業員の確保・育成コストも無視できません。こうした状況に対し、AMR(自律走行搬送ロボット)の導入が有効な解決策となり得ることを示す事例をご紹介します。

導入企業の概要

今回ご紹介するのは、産業機械部品の専門商社A社様の物流部門における事例です。A社様は、全国に複数の物流拠点を持ち、多様なサイズの産業機械部品を取り扱っています。中でも特定の物流センターでは、数百kgから1tクラスの大型・重量部品の入出荷および保管エリア間のパレット搬送作業が多く発生していました。これらの重量物は主にパレット単位で取り扱われます。

AMR導入前の課題

A社様がAMR導入を検討された主な課題は以下の通りです。

導入したAMRとシステム

A社様が導入されたのは、最大積載量1.5tに対応可能な牽引型AMRです。このAMRは、既存のパレットや台車を牽引することで、重量物の搬送を自動化します。

システム構成としては、既存のWMS(倉庫管理システム)とAMR管理システムを連携させました。WMSからの搬送指示(例: 入荷エリアから指定保管棚への移動、保管棚から出荷バースへの移動)がAMR管理システムに送信され、AMRが最適なルートで自動搬送を実行します。特に重量物搬送における安全性を最優先するため、高性能な障害物検知センサーと、人やフォークリフトの接近を検知した場合の緊急停止機能が強化されたモデルを選定しました。

導入プロセスと期間

AMR導入は、約9ヶ月間のプロセスを経て完了しました。初期の数ヶ月で複数のベンダーから情報収集、現場でのトライアルを実施し、最適なAMR機種とシステム構成を検討しました。その後、約6ヶ月をかけてシステム設計、WMSとの連携開発、AMRの搬送ルート設定、現場作業員へのトレーニング、安全ルールの策定を行いました。特に、既存のフォークリフトや人手による作業との協調をスムーズに行うための導線設計とシステム連携には時間をかけました。最初は特定の搬送ルートでのみ運用を開始し、段階的に対象範囲を拡大していく形で進められました。

導入効果

AMR導入により、A社様は以下の具体的な効果を実感されています。

導入における課題と解決策

導入においては、主に以下の課題がありました。

成功の要因・ポイント

A社様におけるAMR導入成功の主な要因は以下の通りです。

今後の展望

A社様では、今回のAMR導入で得られた知見を活かし、今後も物流拠点の自動化・省力化を推進していく計画です。特に、今回導入した重量物対応AMRの対象ルートを拡大するとともに、他の拠点への展開も視野に入れています。また、入荷時の検品・格納作業や、出荷時の梱包エリアへの搬送など、他のプロセスへのAMR活用や、他の種類のAMR導入も検討されており、物流センター全体のさらなる効率化と競争力強化を目指されています。AMRから収集される搬送データの分析を通じて、より効率的なレイアウトや搬送計画を策定するなど、データに基づいた運用改善も進められています。